JTに投資しないシンプルな理由
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みなさんどうも、資産ためぞう(@sstamezo)です。
今回は、(2914)日本たばこ産業(以下JT)の話です。
投資家のブログやツイッターなどのSNSを見ていて思いますが、JTはとても人気が有ります。
JTの人気の理由は分かります。
- タバコという強力な依存力のあり、利益を出しやすい商品
- 国内ではほぼ独占的な企業
- 財務健全
- 超高配当、株主還元に積極的
- 筆頭株主に「財務大臣」。国の財源になっている
- 国内だけではなく海外で展開
ざっと考えてみただけで、人気の理由はたくさん出てきます。
私自身、財務健全で株主還元に積極的な企業はとても好きなので、JTも投資対象としてよく考えます。
しかし、やはり最終的には投資対象から外してしまいます。JTに投資している投資家の方にとっては、なぜ?と思われるかも知れません。
今回はその理由について書きたいと思います。
最初に断っておきますが、JT
やJTに投資している方々を批判する訳ではありません。JTが今後株価を伸ばして連続増配を続け、「投資しておけばよかった」と後悔する可能性もあります。
今回の記事の目的は、私自身JTについての考えを整理したかったのと、JTに投資している、あるいは検討している方にとって1つの意見として参考になればということです。
JTに投資しないシンプルな理由
国内外喫煙率の減少
まずは世界的な背景として、喫煙率が減少していることを考えなければ行けません。
日本でも減少
厚生労働省が発表した、JTが調査した国内の性別・年代別の喫煙率の推移です。
みるみると減少しているのが分かります。タバコは依存率が高く喫煙人口が減っても、値上げしても買う人がいるから大丈夫という意見があります。
しかし、値上げしても買ってくる高い年齢の世代は今後いなくなっていき、若い世代は喫煙率が低いです。
今後10年くらいは値上げで通用するかもしれませんが、数十年後まで考慮すると値上げしても売上減少は必至かと考えます。
世界でも減少
※この章ではこちらのサイトを参照しています。
世界の喫煙傾向はどうなっている?グラフで読み解く - SWI swissinfo.ch
こちらはWHO(世界保健機関)が発表した国別の喫煙率のデータです。喫煙率が30%以上の国は赤、その次に薄い赤色が20%以上、一番薄い赤が10%、グレーはそれ以下となります。
喫煙率が高いのは、おおよそですが新興国や発展途上国だという事が分かります。
次に2000年〜2015年の世界地域別の喫煙率の推移です。南米北米、欧州で急激に減少しているのが分かります。
増加している地域もありますが、WHOによると「先進国になるに連れて喫煙率の減少が早まる」そうです。
そうするとやはり、今後数十年スパンで予測したとき、タバコ産業にあまり期待できない気がします。
もちろん、昔からそう言われ続けて利益を上げ続けてきたのがタバコ業界なのですが…。
喫煙率が減っているというのが、2000年より前との決定的な違いかと思います。(タバコ銘柄のトータルリターンが高いという、シーゲル教授のデータは2000年より前が多いので)
電子タバコは?
電子タバコが出てきたときは有望かとも思いました。
結局のところアメリカなどでは未だに認可されず、JTは国内ではフィリップ・モリスのアイコスに国内全体の6割以上のシェアを奪われるという状態です。
業績が成長していない
※バフェットコードより
売上の推移を見ると、ほぼ横ばいです。喫煙率が減少していく中で、JTは海外の企業を買収するなどして売上の減少を食い止めているイメージがあります。
配当性向が高い
JTで気になるのは、配当性向の高さです。
配当の推移は右肩上がりで素晴らしいです。こういう企業に投資したいという感じです。
しかし、売上自体が伸びているわけではないので、徐々に配当性向が高くなってきています。
2008年では20%弱だった配当性向は年々上昇し、2018年には70%を超えています。利益の70%を配当金として還元しています。
このままでは利益を伸ばさないと、早ければ数年で利益より配当の方が多くなる計算になります。すると増配のストップ、あるいは減配は免れなくなる可能性があります。
木を見て森を見ていない
個人投資家の間では、「こんなに配当が高いのになんで下がるんだ」「流石にここで下げ止まるだろう」とおっしゃる方もいます。
しかし、JTの株主構成として1単元以上50単元未満の浮動株(主に個人投資家)の割合は、全体の9%弱しかいません。
約20%いる外国投資家や、約60%いる特定株のうちの機関投資家のうちの何割かの売りが大きくなれば、個人投資家たちがいくら買い増そうと普通に株価は下がる訳です。
今、手元に昨年秋の会社四季報があります。
株主構成を見ると、〈外国〉22.8%〈浮動株〉6.9%です。株主の人数は315,571名です。
対して最新の四季報では、〈外国〉19.9%〈浮動株〉8.7%で、株主は392,096名です。
外国人が売り、小口の個人投資家が買ったということが分かります。
日本株式投資の前提として、「多数である外国人投資家の動きに合わせよ」というものがあります。
この個人投資家の流れは、目先の配当に釣られてそうした前提にも逆らっているのです。
まさに「木を見て森を見ていない」状態です。
「筆頭株主が財務大臣」にこだわるのなら…
また、財務大臣が筆頭株主だから安心という意見もありますが、それでも配当性向が100%以上になっても増配を維持するのか疑問です。
もし財務大臣が筆頭株主だというのにこだわるのなら、私はNTT(9432)の方がオススメです。
NTTも同じく財務大臣が筆頭株主であり、業種は通信事業という今後も安定していそう、むしろ5Gなどによって伸びていく分野だと思います。
実際に業績も右肩上がりですし、株主還元にも積極的で、同じように連続増配もしていますが、利益も伸びていますので配当性向も低いままです。
財務大臣にこだわるのなら、JTよりNTTに移ったほうが良いと思います。
チャート
JTに投資するとしたら長期保有が前提なので、10年間の四半期足にしています。2016年からずっと下降しています。
移動平均線も全て下に抜けてしまっており、現状では下げ止まりの要素はありません。
一応、5年間の月足でも見てみます。
月足でも、ずっと移動平均線の下にローソク足があるので、まだ下降トレンドが続くという典型的な動きです。
チャート的に見ても、少なくとも今は保有のタイミングではないかなという感じです。
最後に
配当利回りが高いという意見もありますが、上述した配当性向を見ると利益が成長しない限り、増配にも限界が来ます。
利益を増やすには、業績を伸ばさないと行けません。しかし、今後世界的に喫煙率は減少していくと予想されています。
配当が高くても、将来減配する可能性や、配当以上に株価が下がってしまったら意味はないから売る。
おそらく外国人投資家もそう考えて売却しているはずです。
この流れで保有はできないという、とてもシンプルな理由です。
JTはどうなれば魅力的になるか
JTが今後も発展し続けるためには、タバコ以外の分野に手を出すのも1つだと思います。
例えば、今後大麻が日本でも合法化されたとき、JTが大きなシェアを握るようになったりしたら、投資妙味が出るかもしれません。
JTは、資金を持っている方が10%未満くらいで保有するなら問題ないと思います。しかし、割合をあまり増やすのは危険かなと思います。
私自身考えがよく変わりますし、新たな判断材料がでれば、保有するかもしれません。今回の記事が、JTに投資を検討している方などの参考になれば幸いです。