投資におけるヒューリスティックの罠
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なぜ人は投資で失敗してしまうのか
いきなりですが、なぜ人は投資で失敗してしまうのでしょうか。
人が投資で失敗してしまう一因として、心理学では「利用可能性ヒューリスティック」と呼ばれるものがあります。
この言葉の意味を、投資家は覚えておいて損はありません。今回はこの「利用可能性ヒューリスティック」について書きます。
ヒューリスティックとは
ヒューリスティック(英: heuristic, 独: Heuristik[1])とは、必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法である。ヒューリスティックスでは、答えの精度が保証されない代わりに、回答に至るまでの時間が少ないという特徴がある。
※Wikipediaより引用
ヒューリスティックとは、簡単に言うと、思い込みによる先入観や過去の体験による判断を下すことです。
ヒューリスティックとは対象的な判断方法は、具体的なデータを集めて客観的に情報集したり、確率を計算することです。その方が精度の高い判断が下せるでしょう。
しかし私たちは日常で生きているだけで、常にあらゆる判断をしなければなりません。ヒューリスティックによる判断を頼らざるを得ません。
ヒューリスティックという言葉を知らなくても、私たちは常にヒューリスティックな判断を下しているのです。
投資におけるヒューリスティックの危険性
日常生活のヒューリスティックな判断は、精度が低いですが素早くできるので便利です。
しかし、投資においてのヒューリスティックな判断は、大変危険なのです。
ヒューリスティックによる具体例
日常生活の場合
ヒューリスティックの典型例として、飛行機事故の例があります。
飛行機事故が起きた時、ニュースを見ていた人たちは飛行機を怖いと思い、利用を遠ざけてしまうそうです。
しかし実際は、飛行機による事故よりも車や列車などで事故に遭う確率の方が、統計上高いのです。
それでも、人はニュースを見た影響により、飛行機よりも車や列車が安全だと思っていしまいます。
ヒューリスティックによる判断は、あくまでも自分の先入観、あるいは見たり聞いたりした体験上の判断であり、現実とは違うことが往々にしてあります。
ヒューリスティックによる判断ミスは、日常生活においてはそれほど支障をきたしません。
しかし、投資においては、ヒューリスティックによる判断が致命的なミスを招くことがあります。
投資におけるヒューリスティックの失敗例
例えば、私が資産運用で頑張って資金が貯まったします。その資金で、ワンルームマンション投資をしようと思いました。(実際はそんな資産はもちろんありません)
調べていくと、都心にアクセスの良い人気のあるエリアの、駅から近い物件を割安で見つけました。
しかもその駅周辺は、前にテレビかなにかで人気があると言っていました。
この駅に近い物件なんだから、売れるに違いない!と意気込み、その物件を購入。
しかし、実はその駅は人気でも、その物件のある駅の出口側はお店が少ないため比較的不人気であり、しかもその駅自体も最近実はあまり人気がなくなってきていて、思ったより家賃を安くしないと売れないようです…。
という例も、自分の判断と現実がかけ離れてしまうことで生じた、一種のヒューリスティックによる失敗です。
個別株による失敗例
その銘柄で過去に成功したことがあるから、今回も大丈夫だろうと思って、同じように保有して失敗するケースなどは典型例ではないでしょうか。
前に成功したからといって、その時とは市況もその企業も変わっているのに、安易に投資して同じように利益を得ようとし、見事に失敗してしまいます。
あとは、以前に上昇銘柄を当てたアナリストが、新たに推奨した銘柄だから買おうとか、そういう判断もそうです。
また逆に、投資できないことによる失敗もあります。
調べた限りでは、この銘柄は上昇するはず。でも他の投資家が大損していたりするのを見たり、自分自身が過去に大損した体験が蘇り、怖くて投資できなかった、ということはよくあると思います。
それは日常における、飛行機事故のヒューリスティックと同じパターンです。
もっとも投資できないことによる失敗は、機会損失となりますが、損をしたわけではないので許容範囲にした方が良いかもしれません。
バフェットも「株式投資に見逃し三振はない」と言っています。
確実に自信がある銘柄(なかなかありませんが)にだけ投資する様にする事も大事です。
ヒューリスティックな判断をするうちは初心者
かく言う私も、ヒューリスティックな判断をよくしてしまいます。
というより、私を含め、初心者はヒューリスティックな判断しかできないから初心者なのです(笑)
ヒューリスティックな判断を行わず、客観的なデータを収集して判断することができるかどうかが、初心者投資家と一人前の投資家の違いです。
ファンダメンタルでもテクニカルでも、一流の投資家やトレーダーは、客観的な情報データの把握によって判断を行っています。彼等の情報を収集している方であれば分かるかと思います。
そしてそれは一夜漬けでは身につかないものなので、勉強による知識や経験が必要になります。
一度や二度の失敗は「体験」です。体験では参考にするには不確かかもしれません。
しかし、何度も繰り返し体験した事は、「経験」になります。経験になると精度が上がります。
無意識な故に危険
この記事を読んで、そんなこと当たり前じゃないか、と思われるかたもいらっしゃるかもしれません。
しかし、ヒューリスティックの厄介なところは、無意識のうちにその判断を下してしまうところです。
私たちは日常生活で常にヒューリスティックな判断をしているが故に、意識してヒューリスティックな判断をしようとかしないとか、そういう風に脳は考えていないのです。
投資における判断も、なるべく客観的な判断をしようとも、いつのまにかその判断にヒューリスティックが混じってしまいます。
「迷ったので、最終的には直感で決めました」という話は、よく聞くのではないでしょうか。
対策
投資で判断を下す前に、一度自分はヒューリスティックな判断になっていないか、判断を下した理由を考え直してみるのも良いかと思います。
頭で考えていてもよくわからないので、ブログや投資日誌などに投資記録をつけるのがオススメです。
実際、過去の自分のブログの投資記録を見てみると、如何に自分が無知に選んでいるかが分かります。今もそんなに変わりませんが…(笑)
恥ずかしいですが、それも成長の礎ということで…。