四季報で倒産の危険性を図る7つの方法
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現在、四季報を読みながらも、ファンダメンタルの勉強もしています。
今回は「四季報で倒産の危険性を図る7つのチェックポイント」という部分が興味深いので記録したいと思います。
株式投資をしていない方にとっては、専門用語が多く分かりづらいかも知れません。ご了承ください。
しかし、会社が倒産しそうなのかどうかということは、投資家だけでなくこれから就職先を選ぶ就活生や転職活動中の人、現在その企業で働いている人にとっても大事な話です。
上場企業であれば四季報にも開示されているので、気になる企業をチェックしておいて損はありません。
倒産の危険性を図る7つのチェックポイント
- 株主持分比率(自己資本比率)が低くないか
- 現金同等物に比べて有利子負債が多い
- 営業キャッシュフローがマイナスになっていないか
- 累計損失がある(利益余剰金が▲表示)
- 債務超過である(株主持分が▲表示)
- 赤字が5年以上続いている
- 継続企業の前提に関する重要事象の記載がないか
結論から言うとこの7ポイントです。この7つの項目に当てはまるものが多い企業ほど倒産のリスクが高まります。
本書では一つずつ掘り下げているので、ここでも引用して掘り下げていきます。
株主持分比率(自己資本比率)が低くないか
株主持分比率(自己資本比率)とは、総資産のうち株主持分の占める割合を表すものです。
決算短信や有価証券報告書など一般的には「自己資本率」を用いますが、会社四季報では「株主持分比率」という言葉が使われることもあります。
P35より引用
株主持分比率(自己資本比率)が高いほど安全性が高いそうです。比率が80%以上なら優良、50%以上なら合格点、逆に20%以下であれば安全性の面からリスクが高まります。
ちなみに現在の四季報では、自己資本率という表記で統一されています。
現金同等物に比べて有利子負債が多い
有利子負債とは貸借対照表の負債項目のうち、利子を払わなければならないもののことです。具体的には借入金や社債のことです。
(中略)
ただ、多額の有利子負債があっても、その一方でキャッシュもそれなりに保有していれば、突然資金繰りに支障をきたす恐れは少ないと判断できます。そこで、筆者は有利子負債の額と現金同等物の額を比較してリスクの程度を判断することにしています。
(中略)
有利子負債の額より現金同等物の額が多ければ、いざとなれば借金を返済できるだけのお金があるということなので、倒産のリスクは高くないと判断します。
(中略)
そして、過去の四季報などを用いて、時系列で有利子負債と現金同等物の金額を比べ、両者の差額が年々開いている場合は倒産リスクが上昇していると判断できます。
(中略)
なお、有利子負債がゼロ(=無借金経営)であれば倒産の危険性は非常に小さいと言えますが、たとえ無借金であっても赤字続きであったりキャッシュが減り続けている企業は安全性の面からは要注意です。
P35-37より引用
私の場合は、有利負債がゼロが理想と考えています。しかし、それは正しくない判断基準でしょう。基本的には、負債を抱えずに企業を成長させていくことは難しいからです。
なので、とりあえずは現金同等物より有利子負債額が少なければ一安心、となります。
営業キャッシュ・フローがマイナスになっていないか
営業キャッシュ・フロー(営業CF)は本業によって企業が稼ぎ出したキャッシュのことです。
営業CFがプラスということは、「本業でキャッシュが獲得できている」ことを表しますから、「企業のキャッシュが増える」という安全面のみならず、「キャッシュを稼ぐことができている」という業績面から見ても好ましい状態です。
(中略)
営業CFがマイナスということは、損益計算書でいえば営業赤字と同じことです。
(中略)
ただし、鋼鉄、科学、半導体など、業種によっては景気変動の影響を大きく受けるため、景気の悪いときには営業CFのマイナスが避けられないこともあります。
(中略)
なお、高成長企業の中には利益は高水準なのに、将来の売上に備えて在庫を積み増したり、売上の伸びに売上金の回収が追いつかないなどの理由で、営業CFのマイナスが2期以上続くこともあります。
こういう株は、業績面だけを見れば「成長株」なのですが、安全面ではリスクがやや高いという判断をしておくべきでしょう。
P38-39より引用
営業CFは会計上もっとも誤魔化せない項目だそうです。営業CFがプラスであるということは大事です。
倒産とは関係ありませんが、投資するかどうかの判断基準として、営業キャッシュ・フローと売上高を比較した営業キャッシュフロー・マージンを確認するのも手です。日本株でこの数値が高い企業はほとんどありませんが、財務的な安定度が分かります。
累計損失がないか
貸借対照表の純資産の部に計上された、過去の利益の累積のことを「利益余剰金」と言います。
(中略)
純資産(これも四季報の財務欄に載っています)の30%以上の利益余剰金があれば、十分に優良と考えてよいでしょう。
逆に、利益余剰金が▲表示になっている企業もあります。この状態を「累積損失がある」とか「欠損金がある」と言います。
(中略)
こうした企業は過去のトータルの損益が赤字なのですから、将来の業績面も不安定な状況になりそうだと推測できます。安全面を重視するなら累計損失がある企業は避けるのが無難です。
P40より引用
債務超過である(株主持分(自己資本)が▲表示)
株主持分が▲表示になっている企業が時折あります。これは「債務超過」の状態に陥っていることを示しています。
債務超過とは、資産より負債のほうが多い状態を言います。
(中略)
また、債務超過の状態が2期続くと、上場廃止になってします。
P40より引用
株主持分とは、自己資本のことかと思います。四季報の表記が変わったようです。私の持っている本の版が古いので、ご了承ください。古本で購入したもので(笑)
自己資本がマイナス表記の銘柄はあまり見かけません。見かけても間違えて投資しないようにしたいです。
赤字が5年以上続いている
こちらは引用するまでもありません。今回とは関係ありませんが、ハイリスクハイリターンで赤字続きからの一発逆転を狙って保有するという、博打的な投資法もあります。バイオ関連やベンチャー系等はそうですよね。
継続企業の前提に関する重要事象の記載がないか
会社概要の箇所に、「継続企業の前提に重要事象」や「継続企業の懐疑注記」という記載がある場合は要注意です。
P42より引用
これもそのままです。四季報を見たとき危なそうな注記が載っているので、何となく危険だということは言われなくても分かります(笑)
その他
配当金が無配かどうか(ただし高成長企業はあえて無配の場合もある)、監査法人が頻繁に交代していないかなども目安になるそうです。
監査法人の交代は難易度が高いですね。過去の四季報と比べないといけないので、普通は気づかないと思います。盲点です。
最後に
今回は「ファンダメンタル投資の教科書」に載っていた倒産するリスクのある企業を見分ける方法を紹介しました。
株式投資をする際、利益を上げようとすることも重要ですが、最悪のパターンは投資した企業が倒産や上場廃止になることです。
逆にそれさえ防ぐことができれば、多少株価が変動していても、長期投資であれば配当などでカバーしていくことができます。
なので銘柄を選ぶときは今回のポイントに気をつけていきたいと思います。
今回の記事は投資家の方だけでなく、就活生や転職活動中の方、現在上場企業で働いている方にも参考になれば幸いです。